2021年のいま、最もおすすめできる資産運用術はiDeCo(個人型確定拠出年金)です。積み立てたい金額と運用したい商品を選んだら、あとは勝手に運用されます。最低限の手間とコストで、普段払ってる税金までお得になる!
この記事では、iDeCoについてイラストや図解も使ってなるべくわかりやすく解説します。
※この記事はアフィリエイト広告を含みます
積み立てられる金額に制限があるし、いつでも引き落とせるわけじゃないからね。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、いま最強の資産運用術。
最大の特徴は、とにかく税金がお得になるというところ。
基本的に資産運用でお金を増やすには、それなりのリスクを負う必要がありますが、iDeCoは払う税金を減らすことができるので、リスクを上げずにお金を増やすことが可能です。
でも、おいらみたいに普通の給料でそんなに税金払ってない人でも効果あるの?
[keisanki]
iDeCo所得控除かんたん計算機
iDeCoにいくら積み立てると、どれくらいの節税効果があるのか、
カンタンに計算してみましょう。
年収
掛け金
年齢
計算結果(目安)
節税効果は年間 円
65歳まで積み立てると……
合計 円の節税効果があります。
※ 基礎控除と給与所得控除のみ考慮した簡易計算機です。節税効果のイメージを掴むための概算なので、実際の金額とは異なります。あくまで参考程度にご利用ください。
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合計171万1200円の節税効果だってよ!
個人型の確定拠出年金は以前からあるにはあったのですが、加入するためにいくつかの条件をクリアする必要がありました。
堅苦しい名称も相まって小難しいイメージがあり、私も手を出していなかったのですが、2017年1月の大規模な制度改正と同時にiDeCoという愛称が付けられ、加入条件もかなりゆるくなりました。
私はそのタイミングで口座を作ったので、iDeCoは今年で5年目です。
改正以降も小まめな制度見直しが行われ、2021年現在はあらゆる会社員、主夫や主婦、自営業、公務員の方まで、20歳以上60歳未満なら基本的に誰でも加入できます。
(国民年金基金の払い込みを免除されている人・国民年金非加入者を除く)
強力な節税効果と、半強制的な長期投資がのぞめるので、SBI証券やマネックス証券といった手数料と商品ラインナップに優れたネット証券と組み合わせて利用すれば、一般口座での資産運用とは比較にならないほどの運用成果が期待できます。
ということで今回は、最新版の制度改正内容も含め、iDeCoの魅力について解説していきます。
iDeCoは初めての資産運用として幅広い方におすすめできるので、「今まで投資をやったことがない」という方にも知ってもらいたいです。
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目次
iDeCo(イデコ)とは?
iDeCoとは何か一言で説明するなら、個人で使えるとてもお得な積立投資のシステムのこと。日本で施行されている非課税投資プログラムです。
401k・DCといった別名もあります。
国としては、国民一人ひとりが各自で老後の備えをしてくれたほうが負担が減るので、税制面で優遇する形で長期的な資産形成のサポートをしています。
年金を支払っている側としては複雑な気持ちもありますが、どちらにせよ、この不安定な世の中で65歳以降の全生活基盤を年金一本に頼り切るというのはギャンブル性が高いように思えます。
iDeCoも老後の全体重をかけられるようなものではありませんが、初期設定さえ済ませてしまえばフルオートで積み立て式の資産運用を実現できるので、他の様々な備えと並行して続けることが可能です。
将来への漠然とした不安を減らす上で心強い味方になってくれるよ。
①手数料が低く、品揃えがよい金融機関を選び、iDeCo口座を作る
②運用したい金融商品(定期預金や投資信託)を自分で選ぶ
③掛金(月々最低5000円から)を決めて、自動で積み立てる
④あとは勝手に運用されるので、60歳以降に受け取る
iDeCoでは、
・お金を積み立てるとき
・運用で利益が出たとき
・積み立てたお金を受け取るとき
以上、全てのタイミングにおいて税制上の手厚い優遇が用意されています。
具体的には、iDeCoで得た利益・利息には税金がかかりません。
また、積み立てた分の収入は、所得税と住民税の課税対象外となります。
つまり、お金を積み立てるほど税金が安くなります。
その代わり、積立額には制限があり、払い戻しのタイミングにも強い縛りがあります。
大抵の会社員は所得税と住民税あわせて20%以上天引きされています。
iDeCoでは、このような「本来支払わなければならない税金の分」まで運用に回せるので、たとえ運用益がプラスマイナスゼロだったとしても、やったほうがお得ということになります。
自分の力で計画的に老後資金を貯める方法としては、iDeCoの他にも
・積立定期預金
・積立投資信託
・年金共済
・養老保険
など様々な手段がありますが、投資しながら所得税と住民税が免除されるのはiDeCoだけです。
税制優遇メリットの他にも、安い手数料で投資信託を運用できたり、無駄なく複利を狙えたりと、他にはないメリットが多く、ほとんどの方に最優先でおすすめできる資産運用です。
iDeCoの特徴とメリット
特徴1.自分の納得のいく運用先が選べる
iDeCoは自分で積み立てる私的な年金と解説されることもありますが、公的年金と違って、自分で運用先を選ぶことができます。
好みや許容できるリスクに合わせて運用商品が選べるので、公的年金のように勝手に失敗されて勝手に減らされるようなことがありません。
iDeCoで選べる運用先は、大きく分けて2種類あります。
・元本確保型商品(定期預金・保険)
・投資信託
「積み立てたお金の半分は定期預金で、もう半分は外国株系の投資信託」
といった具合に、複数の金融商品を組み合わせて運用することもできます。
投資信託を組み入れた場合、運用結果によっては元本割れを起こすおそれもありますが、掛け金の数倍になって返ってくることもあり得ます。
特徴2.節税になる
上で解説した通り、税金がかからないことも大きな特徴です。
iDeCo口座内の投資信託で出た利益には、税金がかかりません。
元本割れリスクに強く抵抗を感じる方は、定期預金などの元本確保型の商品でも運用できます。
それでも所得税および住民税の節税メリットを受けられるので、通常の銀行で行う定期預金より効率的にお金を貯めることができます。
積立額は自分で決められる
iDeCoは毎月の積立額を自分で決めることができます。
「子どもができたから来年からは月5000円に減らそう」
といった具合に、自分の人生に合わせて積立額を減らすことも可能です。
月の掛け金は最低5000円からで、限度額は職業や環境によって変わります。
積み立てを一時的に止めて、運用だけに切り替えることも可能です。
NISA・つみたてNISAとの違い
iDeCoと似たようなものとしては、NISA=少額投資非課税制度や、つみたてNISAがあります。
こちらも厚生労働省が愛称をつけた非課税投資プログラムですが、冒頭でも「最強」と宣言したようにiDeCoはNISA以上にお得な制度です。
ただし、iDeCoは自由に引き落としができないので、取り回しの良さではNISAに軍配が上がります。
比較項目 | NISA | つみたてNISA | iDeCo |
---|---|---|---|
お得さ | ★★★☆☆ 運用益非課税 | ★★★☆☆ 運用益非課税 | ★★★★★ 普段払う税金まで安く |
気軽さ | ★★★★★ いつでも売却可 | ★★★★★ いつでも売却可 | ★★☆☆☆ 60歳まで払い戻せない |
手軽さ | ★★★☆☆ 原則、自分で購入/売却 | ★★★★★ 自動積立 | ★★★★★ 自動積立 |
年間投資限度額 | 120万円 | 40万円 | 14万4000円~81万6000円 |
運用可能期間 | 5年間 ロールオーバーで10年間 | 20年間 | 原則60歳まで |
投資できる商品 | 株・投資信託 | 一部の投資信託 | 一部の投資信託・預金・保険 |
非課税対象 | 運用益 | 運用益 | 運用益・所得税・住民税 |
いつでも引き出し | できる | できる | できない |
特記事項 | 2023年分で終了予定 つみたてNISAと併用不可 | NISAと併用不可 | 途中解約不可 (積立の中止は可能) |
iDeCoで失敗しない方法
金融機関や運用先を選べる、ときくと面倒くさそうな気がしますが、iDeCoにおいて手間がかかるのは最初の手続きだけ。
あとは基本的にほったらかしでOKなので、投資をやったことがない方でも気軽に始められます。
iDeCoの具体的な流れを4ステップに分けて解説します。
ステップ1.金融機関を選ぶ
iDeCo(個人型の確定拠出年金)は、自分の好きな金融機関を一つだけ選んで加入することができます。
口座管理にかかる手数料と運用商品のラインナップは加入する金融機関によって様々。
まずは、口座管理手数料(運用管理手数料)が無料で、信託報酬の安い投資信託が揃った証券会社を選びましょう。
おすすめはSBI証券とマネックス証券
無かったらいつも使ってる銀行にしようと思うんだけど。
iDeCo口座を作るなら信託報酬の安い投資信託を取り扱っていて、口座管理手数料の安い金融機関が絶対条件。
そこで、いま一番おすすめできるのはSBI証券のセレクトプランだね!
金融機関 | 金融機関に払う 管理手数料など (毎月) |
---|---|
SBI証券 おすすめ! | 0円 |
マネックス証券 | 0円 |
楽天証券 | 0円 |
大和証券 | 0円 |
ゆうちょ銀行 | 259円 |
三菱UFJ銀行 (通常コース) | 385円 |
山口銀行 | 440円 |
どこの金融機関を選んでも国民基金連合会と信託銀行に支払う171円の手数料はかかりますが、金融機関によっては口座管理手数料がそこに上乗せされます。
口座管理手数料は毎月たった数百円程度ではありますが、2~30年の長期運用も珍しくないiDeCoにおいて、200か月、300か月と積み立てていくうちに、最大で20万円ほどの差が出る可能性も考えられます。
(440円×480か月)
口座管理手数料は無料の金融機関を選択するのが賢明でしょう。
あとは投資信託の信託報酬さえ抑えられれば、かなり低コストでの資産運用ができます。
信託報酬は選ぶ商品によって変わり、選べる商品は金融機関によって変わります。
つまり、良い金融機関を選択できれば、口座管理手数料も信託報酬も安く抑えられるということになります。
2021年版、iDeCoのおすすめ金融機関
SBI証券「セレクトプラン」 | |||
---|---|---|---|
公式サイト | 【SBI証券】口座開設|SBI証券のiDeCo(イデコ) | ||
口座管理手数料 (月額) | 無料 | サポート | ・電話 ・メール |
商品数 | 37種類 |
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元本確保型 商品 | 1種類 | 価格変動型 商品 | 36種類 |
おすすめインデックス投信 | ・eMAXIS Slimシリーズ ・雪だるま | 特筆すべきアクティブ投信 | ・ひふみ年金 ・セゾン資産形成の達人ファンド ・ジェイリバイブ |
ポイント | ・信託報酬最安のインデックス投信 ・大人気かつ好成績のアクティブ投信 ・口座開設/移管/口座管理手数料無料 |
SBI証券は業界最安級の手数料で様々な商品を取引できる老舗のネット証券。
スタンダードプランとセレクトプランという2つのプランがありますが、セレクトプランは手数料・品揃えともに文句なしの、現状最高の選択肢。
まず、口座管理手数料と加入時・移管時の手数料が無料。
取り扱い商品には信託報酬(実質的な手数料)が国内最安のインデックス投信と、大人気のアクティブ投信が揃っており、完璧なラインナップだと言えます。
最安クラスのコストで海外に分散投資できるeMAXIS Slim全世界株式(除く日本)や、SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))は、長期投資のセオリーである「リスク分散」と「ローコスト」の2点をしっかり抑えた強力な商品です。
ヤマコンはずっとSBI証券のユーザーだよ。
マネックス証券もすごい!
マネックス証券 | |||
---|---|---|---|
公式サイト | |||
口座管理手数料 (月額) | 無料 | サポート | ・電話 ・メール |
商品数 | 27種類 |
||
元本確保型 商品 | 1種類 | 価格変動型 商品 | 26種類 |
おすすめインデックス投信 | ・eMAXIS Slim先進国株式インデックス | 特筆すべきアクティブ投信 | ・ひふみ年金 ・ジェイリバイブ |
ポイント | ・先進国と国内株は信託報酬最安のインデックス ・口座開設/移管/口座管理手数料無料 |
マネックス証券がiDeCoのサービスを始めたのは2017年9月。
他の証券会社よりもあと出しとなってしまった分、充実の商品ラインナップと良いコスト環境が揃っています。
商品数は27種類。
とにかく信託報酬が安い商品を揃えています。
金融機関 | 口座管理手数料 | 加入時・移換時の手数料 | 国内株式系投信の最低信託報酬 (税込) | 外国株式系投信の最低信託報酬 (税込) |
---|---|---|---|---|
SBI証券 (セレクトプラン) おすすめ! | 0円 | 0円 | 0.154% 以内 (eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)) | 0.1023% 以内 (eMAXIS Slim 先進国株式インデックス) |
マネックス証券 おすすめ! | 0円 | 0円 | 0.154% (One DC 国内株式インデックスファンド) | 0.1023% 以内 (eMAXIS Slim 先進国株式インデックス) |
SBI証券 (オリジナルプラン) | 0円 | 0円 | 0.176% (三井住友-三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド) | 0.154% (DCニッセイ外国株式インデックス) |
楽天証券 | 0円 | 0円 | 0.176% (三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド) | 年0.10989% (たわらノーロード・先進国株式) |
スルガ銀行 | 270円 | 0円 | 0.572% (DC・ダイワ・ストックインデックス225) | 0.77% (インベスコMSCIコクサイ・インデックス・ファンド) |
大和証券 | 0円 | 0円 | 0.2750% (DCダイワ日本株式インデックス) | 0.275% (DCダイワ外国株式インデックス) |
国内、海外ともに、株式系インデックス投信の信託報酬は最安級。
また、アクティブ投信のラインナップもどんどん充実してきており、今までSBI証券しか取り扱いがなかった「SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ<DC年金>」や、「ひふみ年金」も選べるようになりました。
どちらもかなりの好成績を出している、日本でトップクラスに人気のあるアクティブ投信のiDeCo版です。
安定のインデックス派にも、攻めのアクティブ派にも、マネックス証券は使いやすい証券会社です。
マネックス証券のiDeCo口座開設はこちら
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その他の証券会社
他にも悪くない金融機関はありますが、運用コストがかさむ口座はおすすめできません。
iDeCoの運用コスト
iDeCoを運用する上でかかる手数料は以下の通り。
いわゆる初期費用。
加入時の1回だけかかるコストで、初月の掛金から自動的に差し引かれます。
どこの金融機関を選択しても国民年金基金連合会への手数料が一律2829円発生するほか、金融機関によってはさらに加入時手数料が上乗せされる場合があります。
1度しか発生しないコストなので重要度的には低めですが、最近は加入時手数料が無料の金融機関が増えてきているので、よほどのことがない限りは無料の金融機関を選ぶと良いでしょう。
金融機関選びで最も重要な項目です。
金融機関によって毎月0~600円ほどの手数料が発生します。
iDeCoは長期運用が前提なので、たった数百円の差でも10年、20年と経つうちに10万〜20万円ほどの差がつくことも考えられます。
手数料を払ったからといって何か得することもないので、こちらも「無条件0円」の金融機関をおすすめします。
投資信託で運用する場合、商品ごとに定められた料率の信託報酬が発生します。
これは商品選びをする上で非常に重要な要素です。
ほぼ同じ値動きをする投資信託でも、信託報酬が大きく違う場合があります。
商品や金融機関に関わらず、国民基金連合会に105円と、信託銀行への手数料が66円、合計171円が積み立てのたびにかかります。
他にも、金融機関を乗り換える場合などに手数料が発生する場合があります。
ステップ2.積立額を決める
証券会社を選んだら、次は積み立てる金額を決めます。
サラリーマンなら月5000~2万3000円。
自営業なら月5000~6万8000円のあいだで、自分で決めた金額を積み立てて運用していきます。
積み立てる方法は、月単位拠出と年単位拠出の2種類から選べます。
月々少額ずつ積み立てるか、年に一回どばっと積み立てるか。
コスト面においては、年単位拠出が優れます。
iDeCoは掛け金の額に関わらず、積み立てのたびに171円(105円+66円)の手数料が発生しますが、年単位拠出の場合は拠出にかかる手数料(105円の部分)が12分の1に抑えられます。
月単位拠出→年間2052円の手数料
年単位拠出→年間897円の手数料
特別な理由がない限りは年単位拠出がおすすめ。
仕事をやめたり子供ができた場合など、今まで通り積み立てることが難しくなったら減額することも可能です。
ただし、金額の変更は1年に1度のみ。
また、基本的にiDeCoは途中で引き出すことができないので、積立額は生活に負担の出ない範囲で設定しましょう。
ステップ3.投資配分を決める
iDeCoはリスク商品とノーリスク商品を組み合わせて、自分だけの資産バランスを組み立てることができます。
商品を選ぶ前に、自分の運用スタンスを決めておきましょう。
もし銀行や証券会社の一般口座で投資信託を購入している場合は税金がもったいないので一度売却して、iDeCoやつみたてNISAで似た商品を買い直すのがおすすめ。
どうやって組み立てる?
単純に所得税を節税することだけが目的ならば、ノーリスク商品100%で組むのもアリです。
しかし、ノーリスク商品では高くても年間0.1%程度の利率しか見込めません。
個人的にはインフレリスクが気になるので、最低でも年利2%以上は目指したいところ。
そのためにはリスク商品の組み込みは必要不可欠となります。
1年間を通してマイナスが出てしまったとしても、iDeCoには節税効果という強い後ろ盾があるので下落時もメンタルを保ちやすいのがポイントです。
多少アップダウンしても慌てずに、長いスパンで考えましょう。
ステップ4.金融商品を選ぶ
先ほど考えたバランスに、具体的な金融商品を当てはめていきます。
iDeCoで運用できる商品は以下の通り。
元本確保型商品(ノーリスク商品)
満期まで持っていれば元本を下回ることはありません。
定期預金が中心で、投資商品に比べると利回りは低くなりますが、実は銀行に直接預けるよりも高金利。
「絶対に下ろさない定期預金」と考えると、節税にもなるし金利も高いし良いことずくめです。
一定期間(2週間~10年間ほど)預ける約束をするかわりに、普通預金よりも高い金利を得られます。
満期が来る前に解約すると通常より低い「中途解約利率」が適用されます。
生命保険や損害保険など、あくまで保険として作られた商品ですが、満期を迎えると元本と利息が返ってきます。
商品によっては配当金が支払われることも。
投資商品(リスク商品)
リスク商品は、国内外の株式や債券に投資します。
iDeCoでは主に投資信託を利用します。
投資信託は元本の保証がありません。
大きな利益を生む可能性もありますが、元本割れを起こす可能性もあります。
数多くの投資信託がありますが、大きく分けるとインデックス投信とアクティブ投信というものがあります。
・インデックス投信
日経平均・TOPIX・NYダウなど、国内外の株価や債券の指数と連動する投資信託。
信託報酬の割安なものが多く、リスクとリターンのバランスに優れます。
・アクティブ投信
私たちから集めたお金を使って、運用会社の専門家が運用します。
インデックスを上回る値動きを目標としていますが、株価が上がりそうな会社を探すためにコストがかかるので基本的に手数料が高め。
利益が手数料を上回るという保証もありません。
・バランス型投信
バランス型ファンドは情勢にあわせてリアルタイムに投資割合を調整してくれる投資信託です。
1種類買うだけで国内株・海外株・国内債券・海外債券の4つの資産に分散できる上、定期的にリバランスしてくれるので、長期保有のメンタルを保つ意味では有効な商品です。
投信としては格安に見えますが、本来は信託報酬を払う必要のない債権の部分にも信託報酬を払うことになるので結果的に割高。
マネーマネジメントファンドの略称。
債券を中心に運用する投資信託です。
一般の投資信託に比べ、高い安全性を望めますが、その分リターンは少なめとなります。
運用商品の選び方
いろいろ迷うとは思うけど、やっぱり外国株のインデックス投信は信託報酬も安いし、日本円とは違う値動きをするから日本が暴落したときに強い。
資産運用する上で、まず最初に考えるべき商品だよね。
これを念頭に置いた上で、どんな商品を買うべきか考えてみましょう。
アクティブ投信は信託報酬が高くてクセが強いので、投資をバリバリやる人向けの商品です。
iDeCoは積立限度額が低く、60歳まで払い戻すことができないので「投資をバリバリやる」のには向いていません。
債券は安全に見えますが利回りが低く、コストやリスクに対してリターンが少ないように感じます。
誰にでもすすめられるのはインデックス投信。
手数料が安く、リスクとリターンのバランスに優れており、分散投資の効果も十分です。
基本的に、国内株式ならば最もリスク分散しやすい「TOPIX」(東証株価指数)に連動するもの。
海外株式ならば日本以外の先進国の株価指数「MSCIコクサイインデックス(日本除く)」に連動するものがおすすめです。
どこの証券会社も大体TOPIX系と先進国株系の投資信託は扱っていますが、それぞれ信託報酬が違うので、実際の運用成果には大きな差が出ます。
一覧で比較してみましょう。
金融機関 | 口座管理手数料 | 加入時・移換時の手数料 | 国内株式系投信の最低信託報酬 (税込) | 外国株式系投信の最低信託報酬 (税込) |
---|---|---|---|---|
SBI証券 (セレクトプラン) おすすめ! | 0円 | 0円 | 0.154% 以内 (eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)) | 0.1023% 以内 (eMAXIS Slim 先進国株式インデックス) |
マネックス証券 おすすめ! | 0円 | 0円 | 0.154% (One DC 国内株式インデックスファンド) | 0.1023% 以内 (eMAXIS Slim 先進国株式インデックス) |
SBI証券 (オリジナルプラン) | 0円 | 0円 | 0.176% (三井住友-三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド) | 0.154% (DCニッセイ外国株式インデックス) |
楽天証券 | 0円 | 0円 | 0.176% (三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド) | 年0.10989% (たわらノーロード・先進国株式) |
スルガ銀行 | 270円 | 0円 | 0.572% (DC・ダイワ・ストックインデックス225) | 0.77% (インベスコMSCIコクサイ・インデックス・ファンド) |
大和証券 | 0円 | 0円 | 0.2750% (DCダイワ日本株式インデックス) | 0.275% (DCダイワ外国株式インデックス) |
このとおり、同じような商品で比較しても信託報酬が3倍以上かかるケースもあります。
近所の証券会社やいつも使っている地方銀行などでiDeCo口座を作ると、このような状況に陥りやすいので要注意。
iDeCoのメリットを生かして投資信託で運用するならば、インデックス投信の手数料が安いSBI証券がおすすめです。
分散効果が強い先進国株や世界株のほうが合理的ではあるけど米国株や国内株に絞るのも全然アリだよ!
企業型確定拠出年金について
勤め先の企業が導入している場合は、社内の人事部や総務部に申し込めば「企業型」の確定拠出年金に加入できます(企業型DC)。
企業型と個人型の違いは以下の通り。
企業型 | 個人型 | |
---|---|---|
対象者 | 60歳未満の従業員 | ・60歳未満の自営業者 ・企業年金のない会社員 |
納付方法 | 会社が一括納付 | 給料から天引き |
運営手数料 | 会社負担 | 自己負担 |
金融機関 | 選べない | 自分で選べる |
企業型の場合、自分で選べるのは運用商品だけ。
金融機関と掛け金は勤め先の企業が選びます。
掛け金と手数料は基本的に会社が負担してくれますが、マッチング拠出という制度が使える場合は、自腹で掛け金を上乗せすることも可能。
掛け金+マッチング拠出金額の合計が、月2.75万円(確定給付企業年金がある場合)あるいは5.5万円(確定給付企業年金がない場合)の上限に達するまで上乗せできます。
これまでマッチング拠出が導入されている企業にお勤めの方はiDeCoに加入できない決まりがありましたが、2022年の10月からはiDeCoとの併用が可能になります。
企業型DCと併用する場合、iDeCoは月額2万円(年間24万円)まで。
企業型DCに加えて確定給付企業年金も導入されている場合は月1.2万円という制約があります。
また、マッチング拠出と同様に、企業型DCとiDeCo、2つの合計金額が月2.75万円 or 5.5万円を超えないように設定しなければなりません。
少々複雑にはなりますが、iDeCoも選べるようになるのは好ましいことです。
企業型DCは提携している金融機関によって信託報酬が高くつくケースがあり、マッチング拠出よりもiDeCoへの加入を希望する人たちも少なくありません。
マッチング拠出には手数料を勤め先の企業に負担してもらえるという明確なメリットがありますが、長期的に見ると信託報酬を最小限に抑えられるiDeCoのが有利になる可能性もあります。
特に20〜30代の若い世代は運用期間が長くなるので、信託報酬の重要性が高くなります。
どちらが有利になるかは提携している金融機関のラインナップ次第なので、お勤め先の人事部または総務部にお問い合わせの上、企業型DCの資料をご参照ください。
転職・退職・倒産した場合
企業型確定拠出年金に加入した状態で自己都合で退職した場合も掛け金や運用益はそのまま残ります。
ただし会社が倒産したり、その他の理由で転職・退職した場合は、移管手続きが必要です。
転職先の企業が企業型確定拠出年金に対応していれば担当部署へ申し出てそちらの口座へ移換します。
転職先の企業に企業型確定拠出年金がない場合や、自営業になる場合などは、自分でiDeCoに移換する手続きをしなければなりません。
この手続きをせずに6か月以上放置すると余計な手数料や手続きが増えてしまうので、なるべく早く対応しましょう。
詳しくはこちら
確定拠出年金は転職・退職したら急いでiDeCoに切替えよう!
金融商品選択画面
iDeCoの運用先は、定期預金や投資信託を複数組み合わせて運用することができます。
自由度が高いのでその分難しく感じるかもしれませんが、実際に商品選択画面を見てみるととてもシンプル。
運用したい商品の右側にある「割合(%)」の縦1列の合計が100%になるように数字を入力するだけで完了です。
もちろん、定期預金に100%でも構いません。
ネット証券は普段からウェブ上での金融取引を専門に取り扱っているので、わかりやすくて使いやすいデザインになっています。メンテナンス等で長期間ログインできなくなったり、エラーが出るような心配もありません。
iDeCoのメリットを詳しく解説
「ただでさえ年金が高いのに、これ以上払えるか」と思うかもしれませんが、iDeCoを年金ではなく長期投資として捉えると、様々なメリットが見えてきます。
これは私たちが普段受け取っている給料を図解したものです。
所得税や住民税は、雇用主が支払った給与の全てに発生するわけではありません。
基礎控除や給与所得控除や社会保険料控除や、その他の控除枠を除いた金額(=課税対象)に対して何パーセントという形で発生します。
このパーセントは収入額などによって大きく変わります。
例えば年収300万円の場合、課税対象となる金額は、およそ115万円前後。
(所得税と住民税の計算方法についてはかなりややこしいのでここでは省略します。)
これに対して所得税は約5%、住民税は約10%発生するので、合計約15%。
年間約17万円の税金を天引きされることになります。
ところが、iDeCoで積み立てた分のお金はこれらの税金の計算対象外です。
iDeCoで年間24万円(毎月2万円)積み立てた場合、課税対象がそのまま24万円減るので、15%にあたる3.6万円ほどは税金が安くなります。
税金が返ってくる
会社員の方で、給与天引きの形でiDeCoを積み立てている場合は、会社側の年末調整によって税金が値引きされます。
自分の銀行口座から積み立てている場合は毎年10月に「掛金払込証明書」という書類が届くので、年末調整の際にこの書類を添え、小規模企業共済等掛金控除の欄に記入することで還付されます。
また、確定申告で控除申請することもできるので、年末調整に間に合わなかった場合や、自営業の方などはこちらで申請しましょう。
通常の投資の税率
iDeCoやNISAを使わずに一般口座から投資信託や株式を購入し、利益が出た場合で考えてみましょう。
仮に、月給が23万円、所得税と住民税が計20%だとします。
まず、額面収入23万円のうち、基礎控除分(税金が発生しない部分)を引いた約20万円に対して20%=4万円の税金が発生します。
つまり手取りは23万-4万=19万円。
次に、投資によって得た利益(売却益・配当金・利息など)には一律20.315%の税金が発生します。
額面収入のうち毎月2万3000円(税引き後の1万9000円)を投資に回し、年利2%(税引き後の1.685%)で30年間運用した場合
累計投資額は684万円(1万9000円×12か月×30年)
30年後の運用結果は889万3035円。
ここから各手数料を引いたものを受け取ることになります。
NISA投資の節税効果
次に、同じ条件でNISAを活用した場合です。
所得税と住民税は通常通り引かれますが、投資によって得た利益は非課税となります。
収入のうち毎月2万3000円(税引き後の1万9000円)を投資に回し、年利2%(非課税)で30年間運用した場合
累計投資額は684万円(1万9000円×12か月×30年)
30年後に受け取れる金額は936万1782円(-各手数料を引いた金額)となります。
※ NISAは最長5年間しか保有できません。また、2014年から2023年までの10年間のみの期間限定で実施されている経済の活性化策なので、現実には30年間運用することはできません。
iDeCoの節税効果が一番大きい
最も節税効果が高くなるのは、iDeCoです。
iDeCoの場合は、積み立て分の収入に対しては所得税・住民税がかかりません。
つまり、手取りだけでなく名目分の給与をそのまま投資に回すことができます。
累計投資額は828万円(2万3000円×12か月×30年)
30年後に受け取れる金額は1133万2684円(-各手数料を引いた金額)となります。
同じ金額を積み立てて同じように運用したにも関わらず、節税効果によって通常の投資よりも240万円以上好成績な運用結果となりました。
以上は年利2%で安定して運用できた場合の例であって、実際に年利2%で運用するには、ある程度リスク投資を行わなければなりません。
投資先によっては元本割れを起こしてしまうこともあります。
iDeCoと積立定期預金の比較
元本確保型商品は、文字通り元本割れを起こすことはありません。
銀行の積立定期預金に近い状態になります。
「それならば引き出しやすい積立定期預金のほうが良い」
と思うかもしれませんが、やはりこの場合も所得税と住民税のかからないiDeCoのほうが大幅にお得となります。
毎月1万円(所得・住民税引き後の8500円)×12か月×30年預金
=累計積立額306万円
年利0.01%だとすると、税引後の利息は30年間で3526円
合計306万3526円
毎月1万円×12か月×30年預金
=累計積立額360万円
年利0.01%だとすると、利息は30年間で5250円
合計360万5250円
この概算では、普通に毎月1万円貯金した場合と比べて54万円以上お得になりました。
毎月2万3000円まで積み立てられるので、100万円以上の差が出る可能性も充分にあります。
iDeCoのデメリット
iDeCoの最大のデメリットは、積み立てたお金を60歳になるまで引き出せないこと。
企業型確定拠出年金では受取開始年齢を引き上げることもできますが、こちらも途中で引き出すことは一切できません。
失業しようが、収入が減ろうが、元本も運用益も原則的に引き出せません。
例外として、死亡および高度障害になったときや、震災によって多大な被害を受けたときなどは60歳未満でも引き出せます。
ここまでルールの厳しい金融商品は他にありません。
この点は公的年金に似ていると言えます。
デメリットについて詳しくはこちら
拠出額と限度額について
iDeCoの積み立て額は限度があります。
最低拠出額は全員共通で5000円からとなっていますが、上限は加入者の保険区分によって変わってきます。
ざっくりまとめてみましょう。
拠出限度額 | ||
---|---|---|
①第1号被保険者 | 6万8000円 | |
第2号被保険者 | ②企業年金などのない人 | 2万3000円 |
③企業型確定拠出年金加入者 | 2万0000円 | |
④公務員または 企業年金・私学共済・確定給付年金の加入者 | 1万2000円 | |
⑤第3号被保険者 | 2万3000円 | |
※2024年1月時点 ※2024年12月~④の拠出限度額が2万円に引き上げ |
以上が1か月あたりの拠出限度額となります。
被保険者の分類をわかりやすくすると、以下のようになります。
定義 | 具体例 | |
---|---|---|
第1号被保険者 | 国民年金のみに加入している人 | 個人事業主 パート・アルバイト 無職など |
第2号被保険者 | 厚生年金または共済年金に加入している人 | 会社員 公務員 私立学校教職員など |
第3号被保険者 | 第2号被保険者の被扶養配偶者 | 専業主婦 主夫など |
では、どれくらい積み立てるべきなのか考えてみましょう。
積み立て額は高いほどお得
節税効果と将来の受取額を考えると、できるだけ多く積み立てたいところです。
自営業者の場合は毎月6万8000円まで積み立てられるので、さすがに生活費とのバランスも考えるべきだと思いますが、多くの会社員は最大でも毎月2万3000円までしか積み立てられません。
ある程度貯金があり、毎月赤字というわけでもなければ、2万3000円の拠出をおすすめします。
「毎月2万3000円は厳しい」と思う方も多いかもしれませんが、夫婦で格安SIMに乗り換えれば1か月あたり1万円前後の節約になるし、家賃や光熱費も見直せば難しい金額ではないと思います。
iDeCoの受け取り方
iDeCoの受け取り方は大きく分けて2種類あり、自分で選ぶことができます。
受け取り方によって税金の計算方法が変わります。
自分に合った受け取り方を選ぶことで、税金を全く払わずに受け取れる可能性もあります。
一時金として一括で受け取る
一括で受け取る場合は税法上、「退職所得」として扱われます。
この場合の税金は
(受取額-控除額)×0.5=課税対象
つまり、[控除額>受取額]なら税金はゼロ。
控除額はiDeCoに加入した期間に応じて加算されます。
(掛け金を支払っていない期間は加算されません)
基本的には年間40万円ずつ加算されますが、加入期間が20年を超えると年間70万円にアップし、さらに有利となります。
40万円×10年=控除額400万円
例2:iDeCoに30年加入した場合
40万円×20年+70万円×10年=控除額1500万円
会社員の場合、iDeCoで積み立てられるのは月間2万3000円までと決まっているので、年間の積立額は最大でも27万6000円。
ということは定期預金などの低金利商品ならば、控除額を超えることはありません。
つまり、所得税・住民税・分離課税(運用益の税金)に加えて、受け取り時も税金がかからないと言えます。
ただし自営業者やフリーランスの方などがたくさん積み立てた場合や、投資信託などで大きな利益が出た場合は受け取り時に税金が発生するので注意が必要です。
また、その他の退職所得(退職金・確定給付型企業年金・小規模企業共済など)も受け取る場合は合算となるので、税金が発生する可能性が高いです。
iDeCoの加入期間が長ければ長いほど税制面で有利なので、そういう意味でもお早めの加入をおすすめします。
退職金が少ない人および、退職金のない人。
iDeCo(確定拠出年金)を長期間積み立てた人。
年金形式で受け取る
年金形式で受け取る場合は税法上、「雑所得」として扱われます。
この場合は、公的年金等掛金控除額を差し引くことができます。
公的年金等の総収入額-公的年金等掛金控除額=雑所得
公的年金等掛金控除額の計算方法はだいぶ複雑なので割愛しますが、国民年金と厚生年金を受け取るとオーバーするような金額です。
この上に乗るiDeCoは、税金がガッツリ取られてしまいます。
受取額によっては税金だけではなく国民健康保険や介護保険の保険料が高くなることもあります。
逆に、厚生年金のない方(自営業者・主婦など)は控除の枠内に収まる可能性があります。
年金の少ない人。
自営業や主婦歴の長い方など
iDeCoの受け取りで節税するには
それぞれの受け取る年金や退職金の有無・多寡など、様々な要素の影響を受ける以上、「一概にこれが正解」とは言えません。
何年後、何十年後も今の会社で働いているかはわからないし、公的年金の制度が変化することもあります。
ただ、受け取り時の節税方法はいくらでもあります。
退職金を受け取るタイミングをずらして節税する方法や、公的年金受給前(60~64歳の間)にiDeCoを受け取る方法など……
「控除枠ギリギリまで一時金でもらって、残りは年金形式で」
という受け取り方も可能です。
このように少し工夫すれば「ただ税金の支払いを先延ばしにしただけ」ということにはなりません。
それぞれの人生に合わせた受け取り方を選択しましょう。
iDeCoに関するよくある質問
なんでiDeCoって名前なの?
2017年の法改正のタイミングで、個人型確定拠出年金の愛称がiDeCo(イデコ)に決定されました。
個人型確定拠出年金の英語表記「individual-type Defined Contribution pension plan」が語源。個人を意味するiと、元々略称として使われていたDCが強調されています。
いつか転職するときが不安です
2016年までの制度では、確定拠出年金と企業年金を両立できませんでした。
つまり、iDeCo加入者が企業年金のある企業に就職した場合はこれ以上積み立てられず、運用しかできない状態となります。
これは個人型確定拠出年金の取り回しの悪さを象徴するデメリットでした。
ところが、2017年1月からは両立できるようになり、2022年10月からはさらに対象者が増加します。iDeCoは現実的にほぼ誰でも入れる状態。
「今は中小企業に勤めているけど公務員になりたい」という方や、大企業への転職・就職を考えている方も、タイミングを気にせずにiDeCoへ加入できます。
主婦がiDeCoに加入するメリットは?
専業主婦や被扶養者の場合、iDeCo最大のメリットである「所得税・住民税の控除」が受けられません。
残されたメリットは「運用益が非課税」のみ。
特に所得のない主婦が投資信託などのリスク商品を運用したい場合は、
・掛け金の制限
・運用可能な商品数
・流動性(比較的自由なタイミング掛けたり下ろしたりできること)
以上3点において上回っているNISAやつみたてNISAのほうがメリットが大きくなる可能性が高いです。
それでもiDeCoを選ぶメリットとしては、運用できる期間が長いことが挙げられます。
ただし、その分だけ流動性のデメリット(原則60歳まで下ろせないこと)があまりにも大きいので、専業主婦・主夫の方にはNISAか、つみたてNISAをおすすめします。
NISA(あるいはつみたてNISA)を限度額まで利用して、それでも長期投資したい場合にiDeCoを使うとよいでしょう。
また、これまで働きながらiDeCoに加入していた人が仕事を辞めて主婦・主夫になった場合は、こちらの記事をご覧ください。
>>確定拠出年金は転職・退職したら急いでiDeCoに切替えよう!
iDeCoの節税効果は本当に手数料を上回る?
国民年金基金連合会手数料
事務委託手数料
どこの金融機関で口座を作っても、この2つは避けられません。
さらに初年度は加入時の一時金がかかるので、全部合わせて年間4781円。
翌年以降は年間2004円。運営管理手数料が無料のマネックス証券やSBI証券で運用しても、これだけは必ず発生します。
例えば年収240万円の会社員として考えてみましょう。
生命保険控除や配偶者控除などがなければ、
年収から
・基礎控除
・給与所得控除
・社会保険料控除
が引かれた55万5600円が課税対象。
ここに15%の税金(所得税と住民税の合計)がかかります。
=8万3340円
先ほどの55万5600円から6万円(iDeCo5000円×12か月)を引いた、49万5600円が課税対象となります。
ここに同じく15%の税金がかかるので、
=7万4340円
つまり、年収240万円の人がiDeCoを最小額で続けても、年9000円ほど税金が減ります。
このように、コンパクトな例で見てもiDeCoの手数料が節税効果を上回るということは考えにくいです。
ただし
・口座管理手数料が高い金融機関を選択した場合
・選んだ投資信託が損失を出した場合
・個人事業が赤字または極端に少ない場合
などは、マイナスが出る可能性もあります。
特別法人税は大丈夫?
特別法人税は、年金にかかる税金の一種。
企業年金(厚生年金基金・確定拠出年金・確定給付企業年金)の積立金全体に対し、年率1.173%(国税1%+地方税0.173%)課税されます。
個人型確定拠出年金である、iDeCoも対象に含まれます。
1999年に2年間限定の約束で凍結されて以降7回に渡って凍結期間が延長され続け、現在に至るまで20年以上、一回も請求されていない税金です。
とはいえ、もしこの特別法人税が再稼働したら、iDeCoの旨味は大幅に減ってしまいます。
所得税や住民税が20%安くなるような人には大したことないんじゃない?
利益が出にくい定期預金で運用してたら、毎年1%以上お金が減っていくことになっちゃう。
特別法人税の課税対象は、積立金全体です。
1年間で20万円積み立て、4万円の節税効果が出たとしても、積立金全体が1000万円あったら年率1.173%=11万7300円も減ることになります。
復活する可能性はあるの?
特別法人税 凍結解除の可能性は「全くない」とは言い切れませんが、限りなく低いと考えられます。
元々、1999年に凍結されたのは年金の積立不足が原因でした。
少子高齢化が進んだ今、1999年当時よりも状況は悪いと言えます。
特別法人税の凍結が解除されれば、当然、企業年金の積立はどんどん減っていくことでしょう。あまり得策だとは思えません。
また、日本の長期金利が0%前後で推移している今、年間1%以上も課税することに合理性がありません。
少なくとも長期金利が2%以上になり、放っておいても課税額以上の金利がつく状況でもない限り、凍結の解除はないと考えています。
そもそも特別法人税というもの自体が無茶苦茶なので、厚生労働省をはじめとした様々な団体から廃止を要望されています。
アメリカやイギリス、ドイツといった先進国の年金制度にはこのような税金は存在しません。
廃止される可能性が高いでしょう。
2022年のiDeCo制度改正について
2020年5月、公的年金にかかる改正法案と、私的年金(企業年金等)にかかる改正法案が参議院で可決されました。
これに伴い、iDeCoに関する法律も一部改正が行われました。
具体的な内容は以下の3つです。
1.規制緩和で企業型確定拠出年金と併用可能に
これまで、企業型の確定拠出年金に加入している人はiDeCoに加入することができませんでした。
今回の改正案では、このような人たちでもiDeCoへの加入が可能になります。
金融機関のシステム対応が順調に進めば2022年10月から開始される予定で、これによって約750万人がiDeCoを始められるようになります。
積立額などに制限はありますが、企業型確定拠出年金に加入している人たちにとっては、選択肢が増える形となります。
2.条件付きで、65歳まで加入可能に
公的年金に加入している場合、60歳から65歳までの5年間もiDeCoを積み立てることが可能になります。
ただし、以下2つのうち、どちらかの条件を満たしている必要があります。
・60歳以降も厚生年金に加入している
・60歳以降も国民年金保険料を納めている
こちらは、2022年5月開始予定です。
3.受け取り開始時期を75歳まで遅らせることが可能に
これまで、iDeCo加入者はは60~70歳までのあいだ、自分の好きなタイミングでお金を受給することができました。
今回の改正案では、さらに5年追加され、60〜75歳までの間で、好きなタイミングで受給開始できます。
こちらは、2022年4月から実施される予定です。
iDeCoのまとめ
自分も社会も今後どうなっていくのかわからない中で、60代になるまで引き落とせないお金を積み立てるなんて怖いという意見もわかりますが、ぼんやりとした老後の心配が減ることで心が軽くなる部分もあるし、仕事や生活の面でも挑戦できることが増えると思います。
iDeCoはその手助けをしてくれる存在です。
早くはじめたほうがお得になるので、まずは1万円くらいから積み立ててみて、余裕が出てきたら2万円以上に増額していくのがおすすめです。
iDeCoは基本敵に放置していくことになるので、最初の手続きさえ終わらせてしまえばあとはお手軽。
資産運用の第一歩としておすすめです。
ご加入を検討されている方には、コストの安いこちらの証券会社をおすすめ!
>>SBI証券のセレクトプラン
年齢制限や拠出限度額はあるけど、まさに現代最強の資産運用術だよね!
ということで以上「【2021年版】iDeCoとは|個人型確定拠出年金のわかりやすい図解とおすすめ商品」でした!
それではまた~!
Can you survive?
iDeCoについてはこちらの記事もチェック!
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