2018年5月、iDeCo(個人型確定拠出年金)に関する制度の一部に改正がありました。iDeCoは私が最もおすすめする資産運用方法です。今回の改正内容や各金融機関の対応、これからの運用すべき金融商品まで、改めて考えてみましょう。
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知らない間に制度が変わったりするもんなんだな。
2018年5月1日、確定拠出年金法等の一部を改正する法律(平成28年法律第66号)が施行されました。
私が最もおすすめしている金融商品「iDeCo」は個人型確定拠出年金の愛称。
確定拠出年金の一部なので、今回の制度改正の対象です。
目次
iDeCoの概要と制度改正
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、加入者が金融商品(投資信託や定期預金など)を自分で選び、自分で決めた金額を毎月積み立てて運用していく制度です。
積み立てたお金は、所得控除の対象となるため、住民税と所得税が安くなります。
つまり、積み立て額が大きいほど普段払っている税金が安くなります。
一般的なサラリーマンで考えると、積み立て額の15〜30%ほどは安くなるはず。
さらに、運用で得た利益にも税金がかかりません。
積み立てたお金は60歳まで受け取ることができないというデメリットがありますが、節税効果を考えるとほぼ確実に利益が出ると考えられます。
iDeCoについて詳しくは過去の記事をご覧ください。
iDeCoとは|1万人にiDeCoを始めさせた男【イラストで解説】
基本設定商品の自由化
iDeCo口座を作ったあと商品を選ばずにいた場合、これまでは自動的に定期預金などの元本確保型商品に積み立てられていくきまりでした。
2018年5月1日の制度改正以降は、初期設定の金融商品を各金融機関が自由に決められるようになります。
そもそも、確定拠出年金は税金を優遇する代わりに、国民自身に老後資金を準備させることと、資産運用をすすめることを目的に実施されている制度です。
現状、iDeCoで運用されている資金のうち60%以上は定期預金や保険商品といった元本確保型商品。
今回の確定拠出年金改正法は、より多くの資金を投資信託に流すために施行されたものと考えられます。
各金融機関の初期設定商品
法改正を受けて、楽天証券は低コストのバランス投信を基本設定商品にする予定だと発表しています。
バランス投信は、比較的ローリスクな債券やハイリスクな投信を組み合わせて作られた金融商品。
たとえば
日本株式は25%
日本債券は25%
外国株式は25%
外国債券は25%
=合計100%
といった具合にバランスが設定されており、1つの銘柄の中で複数の銘柄に投資してくれます。
基本的には自分で分散投資したほうがコストは安く済みますが、時間の経過と共に各銘柄が増減してバランスが崩れてしまうので、バランスを取り直す(リバランス)必要があります。
その点、バランス投信は放っておいても自動的にリバランスしてくれるので、長期投資に向いた金融商品のように見えます。
バランス型1本買っとけば考えること少なくて良いかも。
りそなグループはターゲットイヤー型の投資信託を基本設定商品に決めました。
ターゲットイヤー型投信もバランス投信の一種ですが、対象者の年齢に合わせて投資のバランスが自動的に変わるのが特徴です。
基本的に、挽回するチャンスの多い若年者にはハイリスクハイリターンな配分で、老齢者には元本割れリスクを抑えた配分に変わります。
「長期投資で老後資金を作る」という目的のiDeCoとは相性が良いように思えます。
SBI証券の初期設定商品は定期預金のまま。
金融機関からすると、定期預金は利益がほとんどありません。
運用者側への利息もほとんどつきませんが、元本割れリスクがないので良心的な設定ではあります。
企業としてはあんまり合理的ではないけど、理念を感じるような、好感が持てる決断だなあ。
取り扱い商品数の上限が35本
今回の制度改正で、金融機関が取り扱う運用商品数は35本以下という上限も設定されました。
現状、35本以上の金融商品を扱っているのは
SBI証券(67本)
岡三証券(41本)
この2社は、5年以内に35本以下まで減らす必要があります。
どの商品を外すか、外された商品の保有者はどうなるのか、といった難しい問題に立ち向かわなくてはなりません。
また、35本という上限が設けられたことにより、他の金融機関も新しい商品を導入しづらくなることが予想されます。
信託報酬がめちゃくちゃ安いやつもあるからiDeCoへの導入も期待していたんだけど、しばらくは厳しそうだね。
投資教育の努力義務化
これまで各金融機関は、口座開設者に対して確定拠出年金の運用に関する投資教育の配慮義務が課せられていましたが、これからは「配慮義務」が「努力義務」へと強化されました。
上述の「基本設定商品の自由化」にあたり、投資教育の必要ラインが少し上がったことが要因だと考えられます。
iDeCo運用商品の選び方
そう考えると、手数料が安くて長期的なリターンが期待できる海外株系インデックス投信ということになる。
iDeCo最大のメリットは節税です。
通常、投資の利益には20.315%の税金がかかります。
iDeCoやNISAといった非課税投資プログラムは、投資額や運用年数などに制限がある代わりに、税金が免除されます。
iDeCoを元本確保型商品100%で運用しても住民税と所得税は安くなるので、通常の定期預金に比べれば圧倒的にお得ではありますが、それだと「運用益が非課税」という重要なメリットが受けられないのでもったいないです。
資産運用で利益に税金をかけない方法は、iDeCoとNISA(つみたてNISA・ジュニアNISAも含む)の枠内だけ。
どちらも運用額に制限がある以上、貴重な非課税枠内に元本確保型商品を盛り込むのは合理的だとは思えません。
以上の理由から、iDeCoの節税効果を最大限活かすには投資信託での運用が最適だと考えられます。
iDeCoのおすすめ投資信託
日経平均・TOPIX・NYダウなど、国内外の株価や債券の指数と連動する投資信託です。
信託報酬の割安なものが多く、リスクとリターンのバランスに優れます。
・アクティブ投信
私たちから集めたお金を使って、運用会社の専門家が運用してくれます。
各株価指数を上回る値動きを目標としていますが、株価が上がりそうな会社を探すためにコストがかかるので基本的に手数料が高め。
利益が手数料を上回るという保証もありません。
・バランス投信
リアルタイムに投資割合を調整してくれる投資信託です。
1種類買うだけで国内株・海外株・国内債券・海外債券の4つの資産に分散してくれるので、iDeCo内で資産バランスを取りたい場合に有効です。
でもiDeCoの枠内でバランス取る必要もないし、せっかく非課税なのにローリスクローリターンな債券を組み込んでる時点であんまり合理的じゃないかな。
おすすめはインデックス投信
eMAXISシリーズのインデックス投信は信託報酬がすごく安いし、米国株は日本市場が暴落しても影響受けにくいから、持っているとすごく心強いんだよね。
本当の「いざというとき」は、銀行預金なんかより役に立つはず!
iDeCoは選べる商品や取引量、タイミングなどに大幅な制限があるため、投資というよりも長期的な資産運用に向いた商品です。
投資は好きな物や会社に行うものですが
資産運用は合理的でなければならないと考えています。
以上の理由から、合理性を最優先にした運用を心がけています。
資産運用の目的としては、
・効率よく資産を増やしていくこと
・リスクに強い資産を作ること
の2つが考えられます。
これを軸に、iDeCoでの運用に適した具体的な商品を選んでみましょう。
アクティブ投信はおすすめできない
資産運用のプロが運用するアクティブ投信は、優れた運用成績を叩き出しそうに見えますが、中長期的な成績では大半のアクティブ投信がインデックス投信に負けているのが現実。
当然、インデックス投信を上回る成績を出しているアクティブ投信も一定数存在しますが、今後どの投信が好成績を出すのかは不確定。誰にもわかりません。
対して、信託報酬(実質的な運用手数料)は間違いなく発生するマイナスリターンです。
それなら信託報酬が比較的安く、平均的に高い成績を出しているインデックス投信を選ぶのが合理的だと考えられます。
バランス投信は非合理的
次に、バランス投信は様々な商品を混ぜて作られています。
リスクが分散されているため、1つの商品が致命的に暴落してもダメージが軽減され、そこまでのダメージは受けないかもしれません。
分散投資の意味では非常に優れています。
とはいえ、バランスは資産全体で取れば良いことで、一つの商品の中で取る必要はありません。
むしろ商品内でバランスをとってしまうと、貯金や不動産も含めた資産全体で見た際に国内資産に偏る可能性が高いです。
また、債券のようなローリスクローリターンの商品は、利益が出ても大して税金を取られないので、iDeCoやNISA口座で買わず、通常口座で買っても構いません。
バランス投信には債券も含まれるので、運用益非課税のメリットを一部捨ててしまっているようなものです。
以上の理由から、バランス投信もあまり合理的な商品だとは思えません。
以上の理由から、iDeCoの運用商品はインデックス投信が最適だと考えられます。
海外株系投信で分散投資する
銀行預金は一見安全そうに見えますが、日本円が暴落したときはモロにダメージを受けてしまいます。
不動産や株式など、その他の国内資産も共通のリスクを抱えており、この中で分散してもあまり効果がありません。
全財産を国内資産だけで構成するのはかなりリスキーです。
外国株式系インデックス投信は、日本円や国内株が持つリスクとは離れた場所にあり、国内資産とは全く別の動きをします。
日本が長期的な不景気に陥ったとしても、ほとんど影響を受けません。
外国株式系インデックス投信は低コストで効率的にリスク分散できる、かなり合理的な金融商品です。
また、外貨と違って中長期的な成長も期待できます。
外国株式系インデックス投信といってもいくつもあるので、最も信託報酬が安い商品を選ぶと良いでしょう。
具体的には、マネックス証券とSBI証券セレクトプランで取り扱われている「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」が最も低コスト。
金融機関 | 口座管理手数料 | 加入時・移換時の手数料 | 国内株式系投信の最低信託報酬 (税込) | 外国株式系投信の最低信託報酬 (税込) |
---|---|---|---|---|
SBI証券 (セレクトプラン) おすすめ! | 0円 | 0円 | 0.154% 以内 (eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)) | 0.1023% 以内 (eMAXIS Slim 先進国株式インデックス) |
マネックス証券 おすすめ! | 0円 | 0円 | 0.154% (One DC 国内株式インデックスファンド) | 0.1023% 以内 (eMAXIS Slim 先進国株式インデックス) |
SBI証券 (オリジナルプラン) | 0円 | 0円 | 0.176% (三井住友-三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド) | 0.154% (DCニッセイ外国株式インデックス) |
楽天証券 | 0円 | 0円 | 0.176% (三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド) | 年0.10989% (たわらノーロード・先進国株式) |
スルガ銀行 | 270円 | 0円 | 0.572% (DC・ダイワ・ストックインデックス225) | 0.77% (インベスコMSCIコクサイ・インデックス・ファンド) |
大和証券 | 0円 | 0円 | 0.2750% (DCダイワ日本株式インデックス) | 0.275% (DCダイワ外国株式インデックス) |
SBI証券とマネックス証券のiDeCoは口座管理手数料と加入時手数料が無条件で無料。
そのほかにiDeCo自体の手数料として、国民年金基金連合会に支払うものはありますが、そこまで負担してくれる証券会社・銀行は今のところ無いので、手数料は業界最安だと言えます。
私は投資が趣味で、米国株式に期待しているため米国株系インデックス投信に積み立てていますが、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスは低コストかつ分散力が高く、誰にでもおすすめできる商品です。
ひふみ投信やジェイリバイブなど、素晴らしい成果を上げているアクティブ投信もありますが、60歳の受け取り時期まで成果を上げ続けられるかはわかりません。
それならば、iDeCoはリスク分散と割り切って海外系インデックス投信を買い、期待するアクティブ投信はNISA口座で買うのが良いでしょう。
今回の制度改正によって、これから先はさらに商品が増えにくくなるものと考えられます。
良い商品を扱う金融機関を選び、合理的な運用を心がけましょう。
ということで今回は以上!
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